研究と報告【投稿】
医療技術者の職業意識についての実証的研究—第3報医師・歯科医師とのヒューマン・リレーションズ
田尾 雅夫
1
Masao TAO
1
1京都府立大学文学部
pp.269-272
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208270
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結果(42巻8号よりつづく)
6)医師・歯科医師との関係—対人的コンフリクトの分析を中心に
医療技術者の場合,医師・歯科医師とのヒューマン・リレーションズは,業務を円滑に進めていく上で,最も基本的であると考えられる.法的に,医師・歯科医師によって制約を受けるというフォーマルな局面だけではなく,もっとインフォーマルな,日常的な接触の仕方が,彼ら技術者の満足感や動機付け,パフォーマンスなどに決定的な影響を及ぼしているであろうことは十分に予測される.
表22では,職業上の本来の使命を生かせることができるかという質問との関係をみたものである.明らかに,医師・歯科医師の指示によってやる気をなくさせられる機会が多いほど,使命は生かせることができないという回答が多くなっている.この場合の使命とは,かなり漠然とした認識の域を出るものではないが(また,使命の認識の仕方も職種によってもかなり相違するであろう),それでも,やる気をなくさせられることがしばしばある場合の3分の1が職業的使命の達成に対しては否定的である.この結果は,前節(42巻8号,734頁参照)における,自己啓発のための相談相手として,彼らの存在が重要な意味を持っていることと符合する.つまり,医療技術者にとって,アプローチ可能な,理解の得やすい医師・歯科医師とともに業務を行うことは,パフォーマンスの質を向上させるための必須の条件であると考えられる.
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