厚生省から'84
国立医療機関のこれからのあり方について
南澤 孝夫
1
Takao MINAMIZAWA
1
1厚生省医務局国立病院課
pp.149
発行日 1984年2月1日
Published Date 1984/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208238
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20,30,40,50年代の医療
昭和58年も過ぎ去り,50年代最後の1年を迎えたわけであるが,この1年は医療行政にとっても大きな試練の年になりそうである.これまでの我が国における医療行政の流れをみると,おおよそ10年間をひとつの周期として移り変わってきたようにみえる.すなわち昭和20年代は終戦とともに猛威をふるった伝染病や栄養失調対策に明け暮れ,30年代に入って結核対策や医療保険制度の整備が大きな成果をあげて,新しい医療行政の時代を迎える礎が固められてきたのである.昭和40年代は母子保健対策や脳卒中対策にみられるように予防や早期発見,保健指導の考え方が飛躍的に普及するとともに,老人医療費の公費負担制度に代表される無料化の考え方が一気に拡がった時期でもある.
しかし48年11月のオイルショックを契機として,50年代は無料化の見直しが大きなテーマとして論議を呼び,58年2月には老人医療費の自己負担制度が復活するに至ったのである.
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