病院職員の基礎知識 診療科の知識
脳神経外科
佐藤 文明
1
Fumiaki SATO
1
1自治医科大学脳神経外科
pp.432
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208020
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脳神経外科はいつ始まったか
紀元前数百〜数千年という古い時代に,頭蓋骨に人工的な穴をあけた事実が認められています.有名なのはペルーの頭蓋骨ですが,このようなものが果たして脳手術と呼べるかどうか分かりません.ギリシャ時代以降は,はっきりした医学的目的をもって頭の手術が行われてきました.ですから脳神経外科の歴史は,医学一般の歴史と同様大変に古いのです.近代的な意味で脳神経外科が独特の発展を遂げるようになったのは,20世紀の初めごろからと考えてよいでしょう.脳や脊髄といった神経系の手術は,体の他の部分の手術と違って特殊な手技や感覚が必要だということが基本的に大切な点でした.更に脳神経外科の発展の基となっているのは,抗生物質の発達,麻酔法の進歩,放射線医学の進展,工学技術の発達など,関連するいろいろの部門の新しい発見や発明によるところが大きいのです.
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