新 病院建築・60
群馬県立小児医療センターの設計
前島 滋
1
1ARCOM
pp.1073-1078
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207907
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はじめに
この小児医療センターは,年々増えるこども専門病院のうち,北関東で初めての施設として完成したものである.診療は,一般の病院や診療所では診断や治療の困難な未熟児・新生児・乳幼児の患者を対象として,医療機関や保健所からの紹介予約制によって行う.また,母子保健事業についても,保健所や市町村と協力して研修・研究活動を行うなど,拠点としての機能を合わせ持っている.
近年の病院建築は,設備や医療技術面では欧米に通用しうる高度な内容になってきつつあるものの,患者とその家族を入れる「うつわ」としての質や広さについては,重要さの認識が依然として希薄であるように思われる.なかでも小児医療は,看護や治療に手がかかり,患者の生活の場としての要素も強いため,高度になればなるほど財政的負担を設立者である自治体にかけることもあって,なかなか向上させることは適わない.しかしながら疾病を背負った子どもたちにとって親しみやすく,ゆとりのある「うつわ」の獲得は重要な問題である.今回の設計に際しては,いわゆる医療環境の充実を図るとともに,この問題を重視した,より高度な総合医療環境を創ることを目指した.
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