老人医療と福祉の課題
福祉事務所の機能と問題点
三和 治
1
1明治学院大学社会福祉学科
pp.1053-1056
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207899
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問題の所在■
ここに述べる福祉事務所は,社会福祉事業法に規定されている「福祉に関する事務所」のことであり,地方自治体に所属する現業機関として生活保護法や身体障害者福祉法など,いわゆる社会福祉関係諸法の実施を担当する行政組織体を指している.福祉事務所は都道府県と市において義務設置とされ,町や村においては任意設置とされる.昭和26年10月から全国に設置され,今日に至っている.
福祉事務所の担当する業務は(テーマの福祉事務所の機能に関連するものでもあるが)生活保護法,身体障害者福祉法,老人福祉法,精神薄弱者福祉法,母子及び寡婦福祉法,児童福祉法などの,いわゆる社会福祉六法を中心とする社会福祉サービスの提供,実施である.もっとも,これらの業務は生活保護法に代表される金銭,現物(医療,出産など)給付と指導援助,それ以外の諸法に見られる更生や生活行動保持的な"福祉の措置"の援助のように,いくつかの異なる内容を持っている.それらは大きく見れば経済的給付と非経済的給付または相談,助言,指導的援助と区別できようし,更に施設利用や在宅による援助や,各法の単独個別的対応や他の諸法と連携しての対応などに区別できよう.つまり,これらの業務を構成することがらは諸種の援助活動として認識される性格を持っている.
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