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■地球環境とCOVID-19
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から始まったと言える.わが国をはじめとし,全世界の国家や地域は文化,科学,経済,政治のあらゆる分野でCOVID-19後の新しい社会に向けて,未経験の変革が問われることになった.数々の大震災,風水害が起き,2008年にはリーマンショックがあったが,今回のCOVID-19が経済に及ぼす影響は,1929年の世界大恐慌や,1945年に終結した第2次世界大戦による経済への影響より大きく長いのではないかと言われている.最近のこれらの多くは,産業や生活からの二酸化炭素の排出の増大が引き起こす温暖化現象の結果であると考えられる.わが国の気候は20世紀半ばに比べ温暖化が進み,時期にもずれが見られ,変動の幅がはるかに大きくなっていると実感できる.変動の幅が大きいということは,雨は降れば土砂降り,風は吹けば台風並みの風ということである.日本列島はもはや温帯ではなく亜熱帯と言ってもいいだろう.われわれが経験しているCOVID-19を含めた未知の感染症も自然の変動と無関係であるとは言い切れないのではないか.今日のCOVID-19の感染は,当初,国内においても海外においても,このような脅威になるとは予想されていなかった.人の移動が速く,遠く,激増した現代社会においては歴史的災禍であり,各国にとって国難という事態を乗り越えることは容易ではないことと思うが,わが国の医療関係者が結束し英知を結集すれば必ず克服できるものと信じている.武見太郎は日中友好病院寄贈の時,「将来未知の感染症に対応できる病院にするように」と述べていた.
そして,COVID-19は3つの感染の側面を持っている.1つ目は病気という感染症.2つ目は心理的感染症である.不安と恐れが自分から人に伝わる.さらに社会的感染症が3つ目である.嫌悪,偏見,差別が社会に広く,早く,伝わってしまう.特に,SNSなどを通じて今日の社会はこの傾向が非常に強いと思われる.病気が不安を呼び,不安が差別を生み,差別がさらなる病気の拡散につながること.これを防ぐには,上のことを一人一人が十分認識することが不可欠である.
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