病院と地域活動 インタビュー
ある医療法人病院の地域活動
稲見 研二
1
Kenji INAMI
1
1医療法人恵愛会茨戸病院
pp.699-704
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208091
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■ここ10年で変貌した石狩町
茨戸病院も札幌市の郊外の石狩町に開院してから10年たちました.石狩町は,札幌を中心にしたドーナツ現象に入る一地域で,開院当時から,札幌に隣接する町として発展が期待されていました.48年ころは石狩湾新港建設という国のプロジェクトが始まろうとしていたときで,石狩は発展するのではないかと考えていました.現実にはあまり発展していませんが,ただ,人口は3倍くらいになっています.
しかし,10年前には医療機関はもちろん,医療そのものも全く何もない町で,そんな町に,100床の病院をいきなりつくるなんでバカではないかと言われました.町内には大正時代から開業されている先生と,ほかにもうお一人,10キロ以上離れた所の先生とお二人で,病院は全くありませんでした.私がここに病院をつくるころは,まだ医師会の適正配置が強く言われていた時代で,それで,どこへ挨拶をしたらいいのか,ぐるっと見回しても,農家が点在するだけで,どこにも何もない.医師会の事務局の人も,"わざわざ行かなくても,電話で連絡すればいいでしょう."と言うような状況だった.
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