新 病院建築・45
ブラッケベリ病院(ストックホルム)の増築
今井 一夫
1
1国立スウェーデン建築家協会
pp.785-791
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207566
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はじめに
スウェーデンは社会福祉政策を1930年代からとり始め,1960年代高成長時代に,福祉では先輩格のイギリスを越えてしまった国である.医療システムもイギリスの影響を強く受けながら,一貫性と整合性をもって発展してきている.社会福祉コストは高くつくものであるし,その弊害も70年代後半から80年代にかけての低成長時代に顕著に出ている.だからといって,福祉政策は一国にとってマイナスになる,と一概には断定できない.スウェーデンが他の方法をとっていたとしても,別な弊害が必ず出ていたはずであるし,平均的スウェーデン人のバランスシート上ではどう控え目にみても福祉政策はプラス因になってきたはずである.医療費は全額無料である上に,病院は単純労働者に対して多くの雇用を創り出しているから税負担は軽くなりようがない.病院1床当たりの面積もとっくに100m2を超え,今や150m2になろうとしている.これは中央診療部の面積増加もさることながら,患者の居住性や,従業員の労働環境が重視されてきたための管理・サービス関係面積の増加が影響しているものと思われる.
国のプログラムに従った病院建設の布石は1970年代でほとんど終わっている.
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