特集 設備投資と技術革新
未熟児ユニットの経済計算
関 修一郎
1
,
上高原 勝美
2
1鹿児島市立病院周産期医療センター
2鹿児島市立病院
pp.585-586
発行日 1981年7月1日
Published Date 1981/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207508
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はじめに■
新生児医療,あるいは分娩前より母と胎児,更に分娩後の新生児を一貫して管理する周産期医療は今や時代の要求である.脳性麻痺児のかなりの部分,周産期に何らかの異常を認めることが多く,もし不幸にして,将来生産性のある部分に関与し得ないと,国家は莫大な金額を用意しなければならないし,本人や家族の不幸には,目をおおわしむるものがある.この理由で,最近新生児あるいは周産期医療に目がむけられつつあることは,蓋し当然であろう.しかし,現実に,この特殊な,あるいは重症の疾患を取り扱う,医療の地域化としての中心は,大学病院ではなく,ほとんどが国公立,あるいは私立の病院であり,その献身的な努力により支えられているのである.その理由は明白であり,限られた予算と定員の中では,膨大な人と予算を必要とする地域の中心としてのセンターを運営することは,不可能だからである.この点に関しては,明らかに矛盾であり,行政レベルにおける一層の理解が必要であるということはいうまでもない.
翻って,この新生児センターにおける経済性に関してはどうか.このような医療に対する社会のニードがいくら高く,かつ使命感に裏打ちされてこそ成り立つとはいっても,なるべくなら非採算部門でないにこしたことはない,しかし,一般的にいって20床以下の規模が小さい施設の場合,なかなか採算がとれず,それ以上であると,更に規模が大きくなるに従い黒字になると言われている.
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