特集 高度医療設備の経済計算
設備投資に関する経済計算・2
手術部門の経済計算
古田 昭一
1
1三井記念病院外科部
pp.46-49
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204594
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●はじめに
近年,外科領域での進歩は著しいものがある.ひと昔前まではとうてい不可能と考えられていた臓器移植手術,人工臓器移植手術も現在では日常茶飯事として行なわれているが,これら外科手術療法のめざましい進歩をもたらした要因として,パラメディカルの分野での進歩が,メディカルな面に加わって大きく関与している.
高分子材料の開発などは貢献度の高いものであるが,特に目だたないものとしては手術室そのものの機能と能率の向上を忘れてはならない.たとえば,空調による手術室の清浄性の維持,恒温,恒湿性などは,長時間手術などに欠くことのできない要件である.またエレクトロニクスの発達は,術中の生体情報をより迅速に,より正確にとることを可能にし,高度の外科治療の安全性に欠くことのできない手術室構成の要素となっているが,これらのすべてを設備するとすれば,要する費用はばく大なものになり,建物,医療器機などの償却,人件費,消耗品費などの費用を合算すると,手術室での収入源である手術料,麻酔料,検査料の合計と比較し,どの程度が回収されるのであろうか,病院経営のうえには気がかりになる事がらである.
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