病院精神医療の展開
精神病院の管理者責任—判例を中心として
松倉 豊治
1
1兵庫医科大学
pp.83-85
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207369
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
精神病院の管理者責任の問題は,その対象事項によっていくつかに分かれる.主たるものは,①精神病院としての構造,施設及び人員整備の特性,②診療の適正保持及び入退院の要否に関する特殊の判断,③患者と保護義務者間並びに保護義務者と医療側間の特殊の人間関係の問題,④精神障害者と一般社会人との間の社会的連帯の特性の問題などである.
一方,その特殊とか特性とかいう表現について,「何が特殊,特性であるのか」という現代的感覚並びに知性に基づく反省または反論が「患者の人権(または人格権)」高揚という形で台頭し,それが患者の保護及び治療に新たな法的並びに医療的影響を与えつつある,という基本問題が加わる.にもかかわらず他方で,精神障害者による瞠目的な突発事故が起こると,たちまち,その渦中に入った近親者または"近接者"の見解がこれまた印象的に動揺する,という特殊性もまたみられる.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.