小特集 「地域医療」の実践
地方センター病院を指向した病院建築—厚生連帯広厚生病院
石丸 修
1
1北海道厚生連総合病院帯広厚生病院
pp.1041-1044
発行日 1980年12月1日
Published Date 1980/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207324
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地域における病院は社会システムの一環としてとらえねばならない.それには,社会性,公共性,経済性の面から地域の特性を生かした病院づくりを計画し,いかに地域に定着させるかが問題となる.そのためには住民の健康への理解と医療提供者側の地域の現況についての正しい認識,更に現状の冷静な評価を基本とせねばならない.そして,これらの要因を総合して設立母体を超越して地域に潜在する医療資源を発掘育成し,連合を図るなど地域に対応した柔軟な方策を持って当たり正しい世論の支持を得なければ,その成果は期待できない(昭和53年国立病院療養所総合医学会).
医療圏にコア病院構想を持ち,いわゆる三次レベルの医療技術の集積を行い,これを一括管理するという思考が支配的であり,これは理論的には極めて望ましいことである.しかし,高度の呼吸・循環・代謝などの管理体系を持った三次医療レベルの技術集積をすべて完備した病院を運営するには,専門医療職という膨大な人的資源の確保とその勤務シフト,施設設備と機能の高度化などが必要である.しかし,各単位における経済性などを考えると,これらの総合管理はほとんど不可能に近く,またそのため継続性は極めて困難となる.
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