海外の医療
病院医療体制の国際比較
石塚 正敏
1
1厚生省医務局国立療養所課
pp.762-766
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206962
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欧米諸国の慢性疾患医療というものを研究する際に,どうしても避けて通ることのできないものはコストの問題である.慢性疾患医療の中核をなす「ナーシングホーム」をみれば分かるように,「低レベルの医療で高騰する医療コストを切り詰める」という姿勢は欧米一般に見受けられるが,特に米国においては著しい,慢性疾患医療がこうした宿命を背負っている背景には,その起源が救貧院・廃疾院・精神病者収容所といった,医療の領域に含まれない施設を母体にしたこと,および,高度医療機関(すなわち病院)のコストが余りに嵩み過ぎて在院日数を減らす施策がどの国でも積極的にとられていること,の2点が主に考えられる.
本稿では,今後の慢性疾患医療を考えていく上でも重要な,欧米の病院医療制度とコストの問題の一端に触れるとともに,併せて基礎的な周辺領域の問題も探ってみたいと思う.
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