特集 糖尿病—臨床から公衆衛生へ
糖尿病の国際比較
三木 英司
1
MIKI EISHI
1
1千葉市志方病院
pp.276-283
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206851
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■はじめに
糖尿病はローマ時代のAretaeusの他,インド,中国等いくつかの国で古典的な記載があり,人類に普遍的な疾病であったと考えることが出来る.近代的な調査が行われるようになると,糖尿病の普遍性はますます高いことが知られて来た.世界保健機構の推定に従えば,現在地球上には三千万人の患者がいるといわれている.
比較的近年までは糖尿病が殆んどないと言われている民族があったが,調査が充分行われるようになって来ると,有病率は低くても糖尿病はどの民族にも存在することが知られるようになり,エスキモーに代表されるような低いものから,アリゾナ,オクラホマのインディアンや,南太平洋のナウル島の如く糖尿病者の異常に多い集団まであることが知られるようになった.これらの集団における詳細な調査成績も次第に集積されつつある.また従来からいわれて来たことであるが,小児ないし若年発症糖尿病がわが国において,欧米に比較して少ないことは近年多くの成績から確実なものとなりつつある.
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