特集 幹部間リレーションズ
幹部のチームワーク
守屋 博
1
1順天堂大学病院管理学
pp.741-743
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206957
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病院は複雑な集団活動体である
病院には,看護婦や検査技師やその他の専門技術者が多数いて,診療の担当者であり,その中心である医師に協力して高度の医療を行っていることは誰でも知っていることである.ただ戦前の病院では,これらの医療協力者が,個々の診療を担当する医師(診療科の科長)の直接配下として所属するピラミッドを作っていたので,比較的単純な組織であった.ところが,戦後の病院ではこれらの専門技術者はおのおの独立した組織を作り,その集団同士がお互に協力し合うという複雑な組織に変わってきた.これは近代化した米国の生産工業の組織を取り入れたものであって,個々の技術の専門化,高度化を導き,同時に病院の巨大化をもたらしたものである.工業において科学的な管理技法が急速に進歩したのと同様に病院においても,病院管理学が取り入れられて,近代化が進んだのである.
このような組織管理学にはいくつかの原則があるが,その第一は集団の中心にあって状況を判断し,行動の意志を決定し,それを集団に指令する司令部を確立することである.会社でいえば社長,軍隊でいえば司令官のように人間の頭脳と同じく,これなくしてはまとまった集団活動はできないのである.ただ下等動物ではこの神経中枢が未発達で身体の各部が勝手に行動する百足のようなものもあることはあるが……
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