特集 幹部間リレーションズ
民間病院の幹部
一条 勝夫
1
1自治医科大学病院管理学
pp.752-755
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206960
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我が国の医師個人の開設する病院をみる場合,経営経済体質としては,資本主義経済体制における家業あるいは個人企業の範疇に入る.個人の資産を原資とし,生活と診療の場を同じくし,家族労働の協力を得て行われる個人病院は,家業形態の典型である.したがって経営管理の体質は,ほかの産業におけるものとほぼ同様である.経営規模が大きくなり,法人組織をとり経営管理に関する家族の介入が少なくなり,多少とも合理的な組織化をとるようになると,個人企業というのがふさわしいものとなろう.経営管理に現代的な空気を取入れ,科学的合理性が貫かれることが,経営の安泰と成長の条件となるわけである.しかし法人組織といっても,医療法人制度の目的が相続税対策であったという現実的な性格から,私的所有であり,個人経営であるという点で,非法人の場合と大きくは変わらない.これが社員が持分を放棄した財団となると,かなり変身する.開設者と一体であった病院が独立した存在となり,院長と病院,病院と従業員とが分化して認識され,院長対従業員関係の認識もかなり変わって来る.経営管理機構は院長の私物ではなくなり,病院という実体を背景にした存在となり,客観化・合理化は進み,従業員の経営参加は大きくなる.これに反比例して,開設者であった院長および同族の権限なり支配力は弱まる.
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