医療の周辺医療経済 医療経済—考え方の転換・6
医療評価の実際
前田 信雄
1
1国立公衆衛生院
pp.504-505
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206889
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評価とは何か
医療経済の分析がなされるためには,まず医療とか保健の効果がよく分析されていないといけない.効果分析や効率分析は,その評価のひとつの方法だが,評価そのものをしっかり把握しておく必要がある.
まず,医療や保健における評価の概念であるが,一言でいえば,評価とは,目的の達成度の測定もしくは判断であり,それを定量的に行う場合,定性的に行う場合の両方があろう.つまり医療または保健サービス自体が,初めに達成するべく立てた目標の成功の度合を明らかにすることである.したがって,実際の医療の場では,研究という場での評価一例えば薬剤効果の評価一と違って,あくまで当初の事業そのもののプログラムの妥当性について下す判断となる.研究での評価は,新知見を得ると終わるものだが,事業についての評価は,次の新規もしくは継続事業のときの重要決定要因となる.あるいは,次の問題発見や目標設定につながるものである.すなわち,ここでいうプログラム評価は,図1のような保健計画化過程(healthplanning process)の一環を構成するものにほかならない.図1の1からIVまでがらせん状になり,より高次の計画化へ向かうもので,評価はその一段上の判断や代替案策定のための重要なプロセスだともいえる.
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