人
建築計画学の基盤を築く九州芸術工科大学学長 吉武泰水氏
伊藤 誠
1
1千葉大学
pp.800
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206656
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心の暖かい方である.人を叱ったりきつい言葉を吐いたりということがかつてない.建築学者としての先生の業績は,このお人柄から出ているといってよい.それは"病院は患者のために,学校は子供たちのために"から始まる.当り前ではないかと思われるかも知れない.しかし,もう少しよく考えてみると,これは意外に難しい課題である.そして,そこにはじめて建築計画学の基盤を築かれた.いまや同じ基盤にたつ後継者は,病院をはじめ集合住宅・学校・図書館・保育所と各分野に多彩である.
昭和48年,東大教授としての定年を待たずに筑波大学副学長に転出され,新たな学園づくりに意欲的に取り組まれた.棟々の織りなす対立と調和のみごとな学園の建設もようやく完成に近づいたところで,この春招かれて九州芸工大の学長に就任された。芸術と工学の融合を目指す,国立大学の中ではきわめて特異なこの学校をどう育て上げていかれるか,正に打ってつけのポストである.というのも,先生は体質的に緻密な学者でありながら,一方では芸術家の血を濃くひいておられるからである.因みに御父君は国会議事堂の設計者としてデザイン面で高名な吉武東里氏である.
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