院内管理のレベル・アップ 薬剤
安全情報の院内伝達・1
大病院での院内伝達(1)
二宮 英
1
1国立名古屋病院・薬剤課
pp.306-307
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206506
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安全情報活動と薬剤師倫理
医薬品の安全性とは,医薬品を使用する個々の患者にとっての安全性の確保であって,きわめて広範囲に多くのファクターを含むものである.一般に安全性には危険をはらむ度合が含まれている.すなわち危険の許容範囲を定めて安全性を確率的に定める手法が実際に行われている.安全とは,"安全の哲学"からは"危険はゼロ"ということである.しかしながら,医薬品は,生体に対して有効性を示しながらも常に危険を考えざるを得ないものである.
医薬品という人間の生命に関連する物質の使用にあたって考えなくてはならないことは,生命の尊厳である.医学,薬学,その他の科学は発展したとはいいながら,人間の生命現象を究明し,創造することはできない.そこに生命に関する哲学が存在する."安全の哲学"の"あるべき世界"では"危険はゼロ"であるが,現実はほど遠いところにあるといえよう.哲学と科学の接点は生命科学などを通じてより深いところに求められることになろうが,医師,薬剤師,看護婦など直接医療に密着し,患者の生命をあずかり,生命に関連ある医薬品を取り扱う者は自らの職能を省みて,科学の至らない部分を多分にもつ医薬品と生体との関連をよくわきまえて,医療の倫理を根底に堅持して,真摯に医薬品を評価し,選定し,取り扱い,使用しなくてはならない.
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