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はじめに
研究・留学ともに,かつては一人前の医師になるための一里塚という位置づけであった。しかし昨今は臨床業務の比重が大きくなり,研究・留学が軽視される傾向がある。2016年以降,日本麻酔科学会学術集会における一般演題応募数は毎年下がり続けており,学問としての麻酔科学の停滞が危惧されている1)。この原因として若手麻酔科医が研究に対して興味を失っていることが指摘されている。
麻酔科医が研究を行うことにより,専門性の向上や新たな知見の発見が,麻酔科学および関連領域の発展に寄与する。結果として,患者アウトカムの改善につながるなど,多くのメリットがある2)。しかし,時間的な負担や臨床キャリアの中断,研究成果が得られないリスクといったデメリットも伴う(表)。このようなデメリットが,コストパフォーマンスを重視する若手医師から研究を遠ざける一因となっていると考えられる。
一方,医学生は海外で学ぶこと自体には興味をもっており3),海外で学ぶ経験を通してその後のモチベーションが向上したという報告があるため4),海外留学は今後の麻酔科学の復興に対する一つの手段になるかもしれない。
本論文では海外留学(研究・臨床)のメリット・デメリットについてU40メンバーで論じてみたい。
(佐藤恒久,米倉 寛)
“Are there any benefits to studying abroad?” Young anesthesiologists frequently pose this question. The answer is both yes and no. This article will discuss the merits and demerits of studying anesthesiology abroad, in both research and clinical settings.

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