看護婦長日誌
内科病棟あれこれ
鈴木 良子
1
1小田原市立病院
pp.64
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206308
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押しつけ看護
5月○日
患者訪問の際,4人部屋のSさんより,「婦長さん,私のことではないが,一寸したことで,先生からも看護婦さんたちからも,一人一人来室のたびごとに同じことを注意され,聞いていて気の毒だよ.こんなに,これでもか,これでもかというようにいわれなければならないのかなあ」といわれる.その一寸したこととは,肋膜炎で要安静のTさんが4階の病室より1階ホールにあるテレビを見に行ったことである.病棟内には,食堂,娯楽室の設備はなく,個室以外はテレビの持込みを禁じているのである.私は,とっさに「看護婦一人一人が,Tさんの安静を保って,一日も早く治るのを願っていたのでしょう.Tさんの気持も考えずに,申しわけないことをしたわね.」と詫びる.前からカンファレンス時に,Tさんの安静が守れないことが,しばしば話題になっていた.人間として患者をみつめ,ニードを満たすとか,偉そうなことを論じていながら,実際には,一方的な看護を押しつけていたのではないか.また医師ともカンファレンスを持ち,患者の立場になって,安静のことを考えていたら,適切な処置がとれたのではないかと反省する.
チームカンファレンスのあり方,計画の立案,実施,評価の未熟さを痛感する.
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