医療への提言・10
人類の存在にかかわる医療
水野 肇
pp.80-83
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206214
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試験管ベビーを目指す諸実験
前回「安楽死」と「羊水検査」の問題をとりあげて,医学が,単に発展と発達を求めるだけでは,どうにもならないジレンマに陥る恐れのあることを指摘した.これをもっと詳しく,そして考え方としてどうあるべきかを考えてみたい.この問題は,率直にいえば,健康保険や,診療過誤といった問題よりもはるかに重要なテーマではないかと思う.というのは,人類の存在そのものに関係するからである.そこで,まず「試験管ベビー」の問題を少し詳しくみてみたい.
◇1969年2月,ケンブリッジ大学の発生生理学者,R.G.エドワーズとP.ステプトーがヒトの生殖細胞を体外にとりだし,実験皿の中で受精させるのに成功した.「体外にとりだした精子の受精にはじめて成功し,卵細胞の三つにひとつは受精した」と英国の自然科学専門誌「ネイチュア」に発表した.
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