一頁評論
Clinical pharmacistの現状と将来
粕谷 泰次
1
1東京薬科大学医療薬学専攻科
pp.49
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206037
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これからの薬剤師の新しい活動フィールドとして,薬剤師が調剤室のみにとじこもらず,病棟にも進出し,医師の欠くべからざるパートナーとして患者のベッドサイドで医療活動に積極的に参加し,真の薬の専門家としての任務を果たすべきであるという考えから,clinical pharmacistについての問題はアメリカを中心に10数年前から真剣に取り組まれてきた.患者の治療というゴールを目指してゆくうえで,医師が患者を診断し,薬物療法に必要な処方を出し,その処方に従って薬剤師が薬を調剤し,その調剤薬を患者に渡すといった,これまで薬剤師が果たしてきた調剤業務中心の,いわば消極的な医療活動への関与の仕方が反省され,医薬品について高度の専門知識をもった薬の専門家,また医療チームの一員としての薬剤師のあるべき姿に目が向けられてきたわけである.
日本でもここ数年来,特に薬学教育関係者や病院薬剤師の間でclinical pharmacyへの関心が高まってきており,従来の患者不在の薬学教育の改善,チーム医療の中での薬剤師の寄与などが要請されるに到ってきた,この背景には,薬剤師という職能がこれまでは薬とのつながりという面だけに特に重点がおかれて捉えられてきたが,患者と薬とのつながりをまず考え,その上で薬と薬剤師とのつながりを考えるという,医薬品に関する諸情報の専門家として従来よりも一層医療に貢献できる薬剤師のあり方が問題とされるようになってきたという事実がある.
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