院内管理のレベル・アップ 精神病院
精神病院管理の諸問題・2
精神病院の労働問題(2)
岩佐 金次郎
1
1三越診療所
pp.54-55
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205876
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ふたつの不満(承前)
職員出勤退出時刻のタイムカード制を採用した時,最後まで抵抗を示したのは医師であるという話をよく聞く.言い分はいろいろ並べるが,妥当性はない.なかには「医者がそんなことをする必要はない」の一点張りで,他の理由は言わなかった者もいる.また,職員入口は,正面玄関の横手にあるのに,いつまでも正面入口を使っている医者がいた.「医者に側口から入れというのはおかしい」と言う.
この「医師は,他の職員とは違うのだ」という「言い分」は,勤務生活のなかで多方面に現れてくる.「医師意識」と言いたいだろうが,意識とは,社会的歴史的に規定された理論,思想,見識や感情という意味だから,意識というより,その医者の勤務医であるとの認識に思い至らぬ「未熟性,非社会性」と呼んだ方が当っているが,こうした者が実情として少なくない.
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