グラフ 新設医大付属病院シリーズ・2
既成医大に在野から挑戦—川崎医科大学と付属病院
pp.13-19
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205540
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個人的色彩が依然として残る,わが国に稀な医科大学である.一代で診療所を医科大学にまで育てた川崎祐宣理事長は,基盤を固めるまではワンマンコントロールも必要と自ら語る.だからこそ,既成の大学で許されない野心的な試みも可能な場として,全国からスタッフが集い,創設期の熱気がみなぎるのだろう.従来の医大は教授の研究のためにあったようなものだが,ここは学生のためにあるという考え方もそのひとつ.すべてを臨床医学に結びつけていこうとする積極的姿勢は,設備構造上にも明確で,学生個々の研究スペースが,3,4年は大学内に,5,6年は大学と病院との接続部で図書館,研究室,実験室に近いところに置かれ,なるべく早くから臨床の場で自ら勉強させようとする.
来年はいよいよ第1回卆業生を送り出すという.関係者の脳裡を国家試験が離れない昨今だが,川崎医科大学の理想が社会の中にどう根をはり生かされてゆくのか,大学の真の評価が下される日もまた近づきつつあるといえよう.
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