英国で学んだ病院管理・2
看護管理と看護教育(1)
関 武矩
1
1聖路加国際病院秘書課
pp.70-71
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205275
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ここも看護婦不足(?)
看護婦不足の問題は洋の東西を問わず深刻であり,イギリスにおいても例外ではない.3か月の研修期間中に訪れたいくつかの病院の看護婦長は口をそろえて,看護婦不足の悩みを表明していたし,病院に働く勤務医の中からも,看護婦の充足を願う声を聞かされた.ところが,説明を受けながら院内の見学をさせてもらうと,‘これでも看護の手不足なのだろうか’という疑問がわいてくる.これは見学したいずれの病院においても,同じような印象をうけたのである.
前半に1週間の病院実習を行なったルイシャム・ホスピタルを例にとってみると,550床の総合病院で,看護婦が410名だという.そのほか約45名の看護助手がいるという.これは‘この病院には何名の看護婦が働いているか’という質問に対して返ってきた答えである.ただし,この数字には,カラクリがある.410名のうち,なんと50%は看護学生だからである.ひとつの病院に働く看護婦のうち50%が学生ということは,イギリスでもいわば極端な例かもしれないが,保健省の看護部長も‘いまや勤務する学生数が50%を超えている病院もある’と述べているし,平均的には,1病院あたりの看護学生の労働力構成比は30%とみてさしつかえないだろう.もちろん彼女たちは有給である.このように,看護学生を労働力として確保するという割りきった考えをもっている特徴がある.
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