病院のクオレ
第2話院長職の見かた
原 素行
1,2
1病院管理研究所
2元 都立広尾病院
pp.69
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205274
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前近代的管理者と批判されたこと
20余年前,広尾病院を会場として,病院給食懇談会が催されたことがある.参会者はおよそ100人ぐらい.そのうちには,東一病院の栗山先生,看護会長の井上女史,たまたま在京中の台湾の婦長さん,著名な病院栄養士諸姉,都衛生局の病院指導者の方がたがお見えになって,病院給食に関する広範囲にわたる問題と取り組んだ.当日の司会者は,会場主の院長がなり,問題提起者をも兼ねた.問題が広範囲であるため,とても筆者には大変な重荷であった.ついに筆者は腹のなかをさらけ出して,‘院長には手が2本しかないので,何からかにまで手が回りかねて……’と申した.この日の報文を何かの雑誌に投稿した.やがて,ある大銅山会社の付属病院の事務員から,筆者に対して厳しい批判の文が雑誌に投稿された.いわく,某病院の院長は非常にコセコセして,前近代的管理者である,八幡(やはた)の社長はドッシリと構えるものだと書いてあった.
一般に仕事は,管理者がトップに立ち,下へ下へと権限を委譲するのがオーソドックスの方式である.病院でもそのとおりである.筆者は,コセコセして,そんじょそこらの小自転車屋のオヤジみたいだということになる.これが筆者の生態学みたいなことになる.——橋本寛敏先輩によれば,旧式病院の院長は最高の技術者であった.さて,これからの病院長は何からかにまで知っていなければならないという.
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