検査室の窓から・10
地域医療にかける夢
冨田 重良
1
1県立尼崎病院研究検査部
pp.74-75
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204809
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外来診療の悩み
尼崎病院に移った当時,いちばんの悩みは医師1人あたり診察すべき外来患者数の多すぎることであった.午前の外来時間内に内科医1人あたり40-50人もの患者が押しかけ,1人平均5-6分の診察時間では患者との間のコミュニケーションも不十分で,なんとも不満足な診療しか行なうことができなかった.
‘殺到する患者の大多数はかぜひき,腹痛程度のかんたんな病気であるから,適当にさばけばよいのだ’という考えにはどうしてもなれなかった.‘病院の設備を必要とするような特殊な患者を,時間をかけて詳しく診察するのがその本来のあり方ではなかろうか’こう考えて,予約制度による外来患者の制限を唱えてもみたが,とうてい許されることでもなかった.
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