視座
関節鏡へかける夢
黒木 良克
1
1昭和大学藤が丘病院整形外科
pp.1227
発行日 1983年12月25日
Published Date 1983/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906861
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1920年故高木教授によって初めて試みられた関節鏡は1931年第一号高木式実用膝関節鏡の開発に伴い,幾多の変遷をたどりながら数多くの先輩の地道な研究により,また渡辺,池内両大先輩の努力によって全世界に於いて確固たる地位を築くに至った.
私も数年前からこれを他の関節の診断,治療に応用できないかと考え,種々試みてきた.現在おもに肩関節と股関節に用いて,その成果は関節鏡学会などに教室の筒井や扇谷らによって発表されている.軟骨や滑液膜,滑液包の変化を主体とする疾患の早期診断が主であるが,肩関節においては腱,腱板の一部の変化も充分に鏡視できることが判った.股関節においては前股関節症やペルテス病などに用い骨頭および臼蓋軟骨の変化がfibrilationから潰瘍,軟骨欠損の状態まで鏡視でき,骨切りなどの手術法決定にも応用している.また滑液膜の変化,例えば炎症性変化やP. V. S.などもよく観察ができ,その上biopsieやGelenkmausの摘出も可能である.またR. A.などの疾患では関節内洗浄効果も期待できそうである.先天性股関節脱臼の整復障害因子も鏡視下に切除できるのではないかと思い,症例を待っているところである.
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