病院の広場
わたしの病院精神医療
牧 武
1
1牧病院
pp.21
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204514
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現在の精神科医療では,向精神薬による治療と,さまざまな形での精神療法が主要な治療手段となっている.しかし,どのような治療も,それが行なわれる場としての病院の形態や機能と切り離しては,その効果を論ずることができない.むしろ,そのような‘病院のあり方’というものが,そのまま治療の効果やその後の患者のなりゆきにまで深くかかわってくる,といえるのではなかろうか.そして,この点が,他科と異なる精神科病院の1つの特質であるように思う.わたくしは,このような考え方で自分の病院を‘それ自体が治療的な働きをもつ環境’として育てることを願い,努力しているつもりである.ここでは,2-3の点にしぼって,その実際を述べてみたい.
(1)病院は病床数150の小規模なものであるが,措置入院のベッドをもたないので6個の保護室を除いては全部を開放にしている.そのため,医師・看護者その他の病院の全スタッフが,いつも全体の患者の状態を把握し,治療的な配慮をすることができなければならない.
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