病院の広場
喘息児のための専門病院誕生
久徳 重盛
1,2,3,4
1名古屋大学医学部
2名古屋大学医学部分院
3日本小児科学会・アレルギー学会・精神身体医学会
4財団法人東海心身医学研究会
pp.21
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204459
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近代医学がめざましい発達をとげたのに,かえって増加の方向をたどっている疾患に気管支喘息がある.自然治癒することも決して珍しくない疾患を,近代医学がコントロールしえなかったのはなぜだろうか.
われわれ名古屋大学小児科アレルギー研究グループは,このような立場で気管支喘息の検討を開始した.約10年前のことである.第1に,従来定説のなかった気管支喘息の病因を理論化し,喘息の成因論として気管支喘息の全体医学説(久徳)を提唱した.近代医学が得意とする疾患は①身体疾患,器質性疾患であり,②多くの場合,病原体などによる身体損傷で,③治療は薬剤ないしは手術など限られた手段である.しかし喘息は①環境と体質が関与した機能失調性疾患で,②心,身,アレルギーのすべての面で,患者が易適応障害性の強いことが疾病の病態であり,③薬剤はあくまで補助的手段であり,特に重症例ほど,環境を調整することが著効を呈することがわかった.
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