連載 りれー随筆・129
「誕生」の片隅から
澤村 節子
1
1菊川産婦人科
pp.434-435
発行日 1995年5月25日
Published Date 1995/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903381
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京都大学医学部付属助産婦学校
武田一子さんから急にバトンを渡されて戸惑っています。考えてみれば,これは昔からの彼女のやり方でありました。
彼女と私は京都大学助産婦学校の同窓生。あの古いだだっ広い「お寮舎」で,1年間「同じ鍋の雑炊」を食べた仲でした。何事にも積極的で目立つ彼女。控えめに大人しくしているつもりでも,何故か目立ってしまう私。良きにつけ悪しきにつけ,2人は寮監さんの目壺に取られておりました。片や,れっきとした助産院の跡取り娘。こちらは戦災で母を失い,父と妹3人,伊賀の山里に引き揚げての俄百姓の総領娘。「仕送り」から言っても力量の差は歴然。ライバル意識は持ちながら,結局はいつも従わされるのは私。そして今回も。
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