精神病院の管理・6
作業療法
関 英馬
1,2
Hidema SEKI
1,2
1寿康会相模病院
2昭和大学医学部神経科
pp.77-80
発行日 1970年6月1日
Published Date 1970/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203994
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
精神医療における作業療法の効果については,もはやだれもが疑わないであろうが,未解決の問題もまた非常に多い.私は現在精神病院で行なわれている作業療法を紹介しながら,さらにその問題点にも触れ,これからの作業療法のあり方について,私なりの展望を試みたいと思う.
さて近代精神医療の作業療法を顧みるとき,多くの叙述がきまってSimon (1867-1947)の名をあげ,その開祖的功績をたたえているが,わが国では,加藤晋佐次郎の業績を種々の意味で,もっと大きく取り上げて考えてよいと思う.Simonが1914年,ギューテルスロー病院におもむき,作業療法を開始し,その成果を公表したのが1924年,加藤が松沢病院で独自の作業療法を実施したのが1919年より1925年にかけてであり,奇しくも時を同じくしていることを,当時の東西の社会背景とともに想起したいものである1-4).
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.