見のがされやすい実務の知識
病院の窓サッシ
倉持 一雄
1
1虎の門病院営繕課
pp.56
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203733
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現行の医療法では,病室の窓などの採光面積を床面積の1/7以上としているが,一般には患者に外をながめさせる療養上の気分転換と,室内空気の清浄化を図るために,じゅうぶんな換気がとれるように,1/3-1/4ぐらいとすることが望まれている.しかし,患者の病症によっては,直射日光をきらうため,ブラインドやカーテンが取り付けられ,結果的に外が見えにくくなって,苦情が持ち込まれた例が多い.このため,外に日除けを付けてほしいという要望が出ているが,都会地の中高層病院では,維持管理と美観上の問題でほとんどつけられていない.
また,最近の病院は全館空調を実施する傾向がみられ,この空調効果が外気に接する窓サッシの構造によって違いがあることは,すでに経験されていることである.この日照を防ぐために,2重ガラス,ガラス面の断熱塗装あるいは断熱材のコーティング技術などが開発されているが,価格と効果の経年使用によるメリットの問題があって,使用に踏みきれないのが現状と思う.しかし,都市部・産業地帯の大気汚染の影響が多くなった病院では,新鮮空気であるはずの大気そのものが汚れているため,窓の開放ができず,しかもサッシの構造が悪いため,ばい煙・じん埃などが室内に吹き込み,困りはてたすえ,2重窓にして改善を図った例もある.
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