病院建築・9
朝日生命成人病研究所の設計と運営
葛谷 信貞
1
,
石渡 和男
1
1朝日生命成人病研究所
pp.57-62
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203734
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財団法人朝日生命成人病研究所は,朝日生命保険相互会社の社会に対する奉仕のひとつとして昭和35年に東京丸の内の旧朝日生命本社内に設立され,以来成人病(循環器科,消化器科,糖尿病科…現在は内分泌代謝科)の外来診療,短期精密検査(人間ドック),近隣の医療機関よりの委託検査などの業務を行なうとともに,各地における成人病研究の助成を行なってきた.このたび朝日生命保険相互会社が創業80周年記念事業の一環として研究所の拡充を企図し,新宿駅西口近くに研究所のための独立の建物を作った.拡充の目的は,成人病研究のための施設を作って,研究者に便宜を与え,成人病研究にいっそうの寄与をすることにあった.新宿駅西口という将来の副都心の入口に場所を選んだために,専門外来に患者を集めるには有利であるが,敷地の広さとか周囲の関係で,設計上種々の制約を受けざるをえなかった.
普通の病院と違って,診療部門に比校して研究部門の占める比率の大きいこと,臨床研究とともに基礎的研究を行なえるように,動物実験や放射性同位元素を用いる実験のための施設に大きなスペースをさいたことなどは,この研究所の特色であろう.研究部門の将来の発展を予測して研究室の増設,設備の変更などが容易に行なえるようなくふうがされ,機能的であるだけでなく,気持ちよく働けるような雰囲気にするための考慮もなされた.
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