病院建設の基本問題・7
地域の医療需要と施設計画—2.病院の入院患者構成
伊藤 誠
1
1千葉大・建築計画学
pp.59-64
発行日 1968年11月1日
Published Date 1968/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203495
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はじめに
数々の矛盾をはらんだ現在の医療施設体系をあるべき姿にたてなおすためには,思いきって抜本的な改革を必要とする。そのような改革への提案は既にこのシリーズの中でも述べられている。具体的な方向についてはもっと多様な考え方があるだろうし,またそうなければならないが,少なくともその必要性についてはそれほど異議もあるまいと思われる。しかし,このような改革は,言うまでもなく,一朝一夕に成就できることではない。じゅうぶんに腰をすえて気長に地味な努力をつみあげていく以外に道はない。
ところでわれわれは,今日明日にでも病院建設の具体的な問題に当面しなければならない。そこで,問題をやや現実的な線に引きもどして,現状ではどのような患者が病院に入っているかを分析してみたい。つまり,ある地域にひとつの病院を建設する場合,そこではどのような患者構成になるかを推定するための手がかりがほしいのである。さらに言いかえれば,地域の医療需要に適合した病院を計画するためには,まず一般的な傾向を把握しておく必要があるということである。
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