病院図書館
—パーリングほか著 姉崎正平ほか訳—「病院,その複雑な人間関係—病院組織の社会学的研究—」
青柳 精一
pp.43
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203164
- 有料閲覧
- 文献概要
経験・実態的に把握
"患者中心主義"の病院組織を描く
本書は,副題にもあるように,病院という社会集団内の人間関係を,アメリカ・コーネル大学のテンプル・バーリング教授らが,社会科学的立場から観察と面接とによって調査したユニークなレポートである。だが,レポートとはいえ"きわめて興味ある読み物"となっているのは,その調査が通りいっぺんでなく,一つの病院での調査に数週間から一年にわたる時間を費やし,経験的実態的に把握しようとした努力があったからだろう。
調査の対象は,ニューヨーク州を中心とする六つの総合病院だが調査にあたっては,医療や病院に対する先入観や偏見を避けるため,研究グループはバーリング教授(精神科医)は別として一人の医療・病院関係者の参加を排除したという。それだけに,複雑な人間関係のありのままの姿を見事にとらえ,それぞれの関係者の不満や苦衷をうまく導き出すことに成功している。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.