第16回日本病院学会特別号 宿題報告の部
高層病院計画の問題点(5月19日10:00〜11:30)
美甘 義夫
1
,
吉武 泰水
2
,
伊藤 誠
3
,
守屋 博
4
1関東中央病院
2東京大学工学部
3千葉大学工学部
4順天堂大学医学部
pp.69-72
発行日 1966年10月20日
Published Date 1966/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202949
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第1席
1.高層化の意義とその可能性
(1)最近の構造技術の進歩によって,わが国にも30〜40階(150m)程度の高層ビルが出現することになった。これらは,従来の地盤に根を下して固める一方の剛構造に対して,鉄骨のじん性を利用し,むしろ地盤の震動エネルギーを建物構造体に呼び込まないようにする柔構造の考え方によっているので,下から上まで同じ平面の細高い塔状のものがかえって有利であるなど,これまでの常識に反する点であるが,耐震的には十分安全性が保証されている。
(2)規模の大きい病院は,通常人口密度の高い地区に建設されるので,敷地の広さが十分にない場合が多く高層にすれば空気や日光を豊富にとりいれることができ眺望もよくなり,いわゆる居住性がよくなるので好ましいと考えられる。また建物周囲にグリーンやパーキングスペースを残し,周辺施設との間の距離を保つこともできるであろう。ことに地価の高い市街地では高層にすることの意味はいっそう大きい。
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