ホスピタルトピックス 診療
薬の副作用対策
T.S.
pp.92
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202874
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最近数年間に,サリドマイド奇形児事件やアンプル入りカゼ薬によるショック死事件があいついでおこり,またアメリカでは抗ヒスタミン剤の製造中止指令,ビタミンD剤の過剰投与に対する警告,DMSO剤の実験中止指令などがあいついで発せられ,医薬品の副作用に対する関心がとみに高まってきた。
このため,WHO (世界保健機構)は昨年の総会で,国際的な医薬品の副作用の監視組織の設置を検討しているし,ヨーロッパ地区ではすでに医薬品の安全計画を作成して実施にうつしている。ところで,主要各国のなかで現在もっとも徹底した医薬品の安全対策を推進しているのはアメリカであるが,同国は昨年「医薬品乱用規制法」を制定して,鎮静剤と興奮剤の乱用や,偽造医薬品の取締まりを強化している。この法律はバルビツール,アンフェタミン,その他の精神中毒をおこさせる薬など,中枢神径系に鎮静効果や刺激効果をあたえたり,幻覚作用をもっているために乱用の可能性がある薬の製造,分配,交付,所在について強力な取締まりをおこなうと同時に,アンフェタミンやバルビツールなどの有名な商品が偽造されているので,このような偽造薬をインスペクションを充実してきびしく取締まろうとするものである。
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