特集 事務長
病院組織における事務長の位置
石原 信吾
1
1虎の門病院
pp.15-23
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202775
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まえがき
現在,病院組織の問題を考える場合,事務長の位置ほど不明確なものはない。1つの病院をとってみても,これを見る人が誰であるかによって,その見方はみなちがう。開設者は開設者の目で,院長は院長の目で,医師は医師の目で,あるいは労務職員は労務職員の目で見て,事務長の位置や職務の性格についてそれぞれ異ったイメージを画く。そして,その各自のイメージに従った態度で事務長に接するのである。また,いくつかの病院をとってみても,特に,その病院の設立種類別や規模別によって,その位置やあり方は随分ちがうようにみえる。そのちがいは,事務長が完全にトップマネジメントの責任者と考えられる場合から単なる事務員にすぎない場合までの全般におよび,現実には,その中間で,それらの性格がそれぞれウエートを異にして重なり合った,非常にバラエティーにとんだ姿をとるのである。
病院事務長の組織上の位置が不明確なのは上述のように,そのとり得る位置の範囲が場合により広くかつ多種多様であることと,その上,これに対する認識が人それぞれによって異ることによる。特に,組織の問題を取り扱う場合,この認識の明,不明ということは根本的な重要性をもつ。組織論的認識が明確でないところに明確な組織が設定されるはずはなく,また,そうしたところに組織の真の効用性やあるいはそうした組織に基づいた十分な働きが実現するはずはないからである。
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