特集 病院におけるリハビリテーション
わが国の病院におけるリハビリテーションの発達について
吉田 幸雄
1
1病院管理研究所
pp.14-17
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202567
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1.第二次大戦の生んだ善果の一つ
1945年日独は降伏した。そして第二次大戦は終結した。勝者も敗者も,永年の戦争による有史以来最大の被害の復旧にとりかかった。そしてそのひとつがこのrehabilitation問題であった。当時世界には何百万人の身体障害者があふれていた。傷痍軍人が多数を占めたことはもちろんであるが,一般市民の中にも多く戦争被害者が存在していた。
そして1948年には,世界戦争の大悲劇の教訓と悔悟から世界人権宣言が行なわれた。すなわち「すべての人は,自分自身および家族の食料,衣服,住居,医療その他必要な社会的サービスを含む健康と安寧に対して,適切な生活水準にある権利を有し,失業や能力欠損(disability)や寡婦や老年あるいはその他自分ではどうすることもできない生活環境における生活必需品の不足する場合に,生活を安定しうる権利を有する」と。この国際連合憲章の条文の中にとりあげられている能力欠損disabilityのものに対して,できるだけ生活を正常に回復させるための身体的,心理的,社会的処置がrehabilitationである。
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