特集 PPC計画
PPCプログラムと病棟の建築計画
伊藤 誠
1
1千葉大学・建築学
pp.31-38
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202554
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1.PPCプログラムの建築計画的意義
Progressive Patient Careは,病状と看護の必要度に応じて患者をわけて扱おうとするもので,看護力を段階的に分化して効率よく配分することをひとつの大きなねらいとしている。入院患者を,たとえば診療科別や病種別に縦割りにするのに対して,所要の看護量に従い,①Intensive Care②Intermediate Care③Self Care④Long Term Care⑤Home Careといった,いわば横割りの構成にしようとするもので,狭い意味での看護面からだけでなく,病院サービス全体からみても数多くの利点があるとされている。PPCプログラムの概念そのものは,いうまでもなくアメリカに生まれたものであるが,わが国でも,もともと診療科別区分の成立し得ない単科病院で,似たような方式がかなり前から実施されている。結核療養所で,内科的・外科的な治療手段や患者の病状の軽重(たとえば安静度)に応じた看護単位区分をおこない,看護力をそれぞれの必要に応じて「傾斜配置」しているのなどはその一例であろう。また,精神病院で,入院初期の治療観察病棟,やや陳旧化した慢性患者の病棟,作業その他の日課に従って自主的に行動できる開放病棟,合併症を伴う患者の病棟,老人病棟等々のような病棟構成を採用しているのなどもその例である。
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