新春特集号 特別掲載
戦後日本における社会保障の発展
大内 兵衛
1,2
1東京大学
2法政大学
pp.26-37
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202495
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経済は飛躍的に成長
第2次世界大戦は数千万人の人間を犠牲とし,たくさんの国を滅ぼしましたが,これは人類にとっての歴史的なテストでありました。しかし,戦後20年,人類は確かにこのテストに耐えたように思います。たとえば,戦後10年に,世界はすでにもう戦後でないという意識を持ったのでありますが,最近においては,どこの国でも生産の伸び方はたいへんなものであります。
たとえば,工業の生産だけについて申しますとドイツとかフランスとかイタリアというような国は,だいたい戦前の3倍の生産力を持っております。イギリスでも2倍です。こういう国ぐにに比較いたしまして,日本はどうであるかと申しますと,今のところ生産の伸び方は4倍であります。これを生産の伸び方が7倍もしくは8倍といわれるソ連と比べますと,おそいのでありますが,しかし"世界の奇跡"といわれたドイツに比べてもはるかにその復興が早いのであります。これについては,むろんいろいろ原因もありますが,何といっても技術の発達がこの動因でありまして,その技術の発達のさらに基礎は学問であります。
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