ホスピタル・トピックス 特殊病院
国立療養所の防疫対策
柳瀬 正之
1
1厚生省医務局国立療養所課
pp.88-89
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202466
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常時何らかの不定愁訴のある結核患者,衛生観念のない精神病患者,感覚麻痺のらいや脊髄損傷,これらの特殊疾病の長期療養者が生活する環境が,上下水道は完備しておらず設備の老朽によって,国立療養所の防疫には,いやが応でも年中最善の配慮が必要とされる。幸い赤痢の発生状況は下表の程度におさまっている。
かような疾病,境環の特殊性に加えて,国の施設であるところから,伝染予防法第20条によって取り扱いに特例が定められている。この条文に日く,「諸官庁及官立,学校,病院,製造所等に伝染病発生シ若ハ発生ノ虞アルトキハ其ノ首長は都道府県知事ト協議シ此ノ法律ニ準シ予防方法ヲ施行スヘシ」。知事や市町村長らが,国の機関,施設に対し,伝染病予防の見地からとはいえ,患者の強制収容,交通遮断等の強い権限を無制限に発動することは,国の行政目的を阻害するおそれがあるとして,国の機関施設の長が知事と協議して伝染病予防法の規定するところに準じて予防事業を実施さえすればよいと特例を認めているのである。本条にいう「予防方法」の内容は,都道府県知事または市町村長の権限に属する一連の防疫事務および患家において施行すべき事項がおおむね含まれ,したがって国立療養所長はつぎの予防方法を講ずる責任がある。
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