論説
防疫第一(特に赤痢)
小島 三郞
pp.290-291
発行日 1947年1月25日
Published Date 1947/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200093
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此の標題は或は多數の讀者から不愉快がられるかも知れない。吾人醫家が公衆衞生上からやるべき事は多々ある。結核だ,癩だ,トラコーマと寄生蟲だ,體力だ,小兒母性保護だ,引揚同胞援護だ,食糧問題解決だ,なすべき事餘りに多い敗戰日本の今日,防疫が殘念ながら輕るく取扱はれてゐる。防疫第一と叫んでやつと今列擧したやうなものと同等に視られるかとの考へで,題名としたのである。また安全第一(Safety first)程心易く,あゝさうかと解せられても困まるが,眞劍に防疫が第一と思はれて他を放棄して下さつても困まる。
勿論,尚お衞生行政からみて生活權擁護をストライキ者流に任かせて,打ち棄て置く譯にも行かぬ。住宅問題,衣料問題,燃料問題もある。そして「本當の防疫」は以上列擧の悉くを同時に考慮しなければ,成果の得られない事も知つてゐて,尚且つ防疫第一と叫ぶ。
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