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病室単位とその設備について—人手節約の方法,とくに病室単位の整備について
島内 武文
1
,
岩本 正信
1
,
車田 松三郎
1
1東北大学医学部病院管理学教室
pp.65-72
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202348
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最近病院経営における人件費の増大は病院経営上の重大な問題点となっており,給与ベースの上昇・職員年令構成の老令化は一層これに追打ちをかけてきたため,収入に対する**人件費率が50%をこえる場合は経営は赤字を免れない事態となって,管理の合理化が強く求められてきた。加うるに一般に人員の不足があり,ことに医師看護婦等の専門的職員や,第一線の働き手である若い従業員については欠員がいちじるしく,とりわけ地方においてはこのため診療所,病院等が閉鎖のやむなきに至り,あるいは折角の設備機械があそんでしまうという場合もでてきた。
この様な事態に対しては,もちろん根本的にいって今日の医学の進歩や経済の成長に伴わないで不当に低い医療報酬の改善に努めることが何よりも大切なことはいうまでもないし,また専門的職員の教育養成も計画的に行なわれなければならないが,当面の処置としては管理上において従来のやり方の中から人手節約のための種々の工夫がなされなければならないと思われる。かつてわが国は物の価値に比べて人手の安い所であったので,一般に人間を使うことには物を節約すること程には気にかけなかったきらいがあった。しかし今日の様に人々の生産性が上昇し生活水準が上ってくると,従来の放慢な人使いを改めなければならなくなってきた。
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