Hospital Topics 経営
一般企業にみる初任給の上昇
A.S.
pp.92-93
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202147
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近年新規学卒者の初任給上昇がしきりに問題にされているが,一般企業でこの上昇率が一体どの位であるかは当然病院管理者にとっても関心の的と思われる。そこで今月はこの問題を取上げ,病院管理者の賃金管理の参考に供したい。
ここ数年来,世界も目をみはるほどの日本経済の高度成長にともない,労働需要は著しく増大した。この高度成長も生産性向上運動と相互補充的に進められ,企業の合理化を促進したが,資本に需要される労働力は,新機械・新技術に容易に即応しうる労働力を必要とした。しかも日本の企業の大部分が年功序列型賃金制度を採用している現状から,人事管理の面からいって,また労働力をやすく使うためにも,学校を出たての新規の労働力を雇用することこそ,もっとも有利としたのであった。したがって労働需要も年令階層の上からいっても一様ではなく,以上の二つの資本の要請から若年の新規労働力に片寄っていたため,新規学卒者に対する需要が急激に上昇し,世上かまびすしくいわれた求人難は,実は主として新規学卒者に向けられていたのである。賃金は労働力の需給関係と賃金闘争の強弱によって決められるので,新規労働力に対する逼迫は,当然彼らの賃金を上昇せしめずにはおかない。最近にみられる初任給の大幅な上昇は,かかる経済的誘因にもとづくものである。
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