特集 看護
看護の将来
わが国の看護婦の問題点—リゾス氏の論文を読んでの考察
岩佐 潔
1
,
津田 豊和
2
,
塚本 蝶子
2
1病院管理研究所医療管理部
2病院管理研究所
pp.23-27
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201943
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1.わが国における発展段階の二重性
リゾス氏によれば,先進国では従来看護婦の業務と考えられたものが,しだいに補助者におろされ,専門看護婦は高度技術を要する仕事や監督的な仕事をするように変貌しているのであるが,後進国においては従来素人がなんとなしに行なっていた仕事を,しだいに訓練を受けた看護婦が自分らの手に取りこむ過程が現に進行しているということである。氏はアメリカで教育を受け,現在WHOの病院管理顧問としてマラヤに駐在する人であるので,この間の事情を身をもって体験しているものと思われる。したがって氏のこの見解は妥当なものと考えられる。
しからば,わが国の看護業務はどのような発達段階に来ているのであろうか。わが国の文化全般についてみれば,アメリカやヨーロッパ諸国に対して後進性をぬぐいきれない部面を持っていると同時に,他面ではこれらの国々と並んで,アジヤやアフリカの国々に対しては,先進国としての多数の特質をそなえているのである。この点の事情は,看護についてもまったく例外でないように思われる。
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