固定欄 特殊病院
特殊病院について(4)
N.H.
pp.153-154
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201891
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さきの号で述べたように,国立結核療養所は,結核病院の中では大きな部分を占めており,その在り方如何は結核病院全体に与える影響も少なくないので国立結核療養所が当面している体質改善の問題についてふれてみることとする。
全国に配置されている国立結核療養所が地域社会の医療需要に十分に応じ,かつ最高の機能をもって治療活動を行なうことが望ましく,また国の結核対策の中心機関として,将来結核治療の最終拠点となることが期待されるのではあるが,国立療養所の現状をみると,これらの条件に適合させるのには甚だ不十分であり,たとえ強化充実するとしても,限られた国の経費では長年月を要することとなりそうである。そしてまた,その立地条件から考えるとき,全国180の各療養所がすべて同じ程度の機能をもつということは非能率であり,国立療養所相互の競合をも生ずる結果,経営合理化の方向とも逆行することになり,望ましい在り方とはいえないのである。国が経営する療養所である限りそこに特徴があってしかるべきで,他の経営体では容易になし得ないような結核対策の分野を受けもつとか,結核治療に関して他の医療機関の指導的役割を受け持つとか,というようなことが考えられるのである。
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