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胃ドックについて
永沢 滋
1
,
高橋 政祺
1
,
有賀 槐三
2
,
本田 利男
2
,
高橋 淳
2
,
宮川 敬
2
,
朝倉 啓
2
,
小野 昭平
2
,
岸 功
2
1日本大学医学部病院管理学教室
2日本大学医学部病院第三内科学教室
pp.101-105
発行日 1960年2月1日
Published Date 1960/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201614
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I.胃ドック開設の動機
近年悪性腫瘍(癌)による死亡者が増加してきたことはよく指摘されている問題であつて,我が国民の死亡順位でも上位(第2位)を占めている。この悪性腫瘍のうち我が国では欧米と異つて消化器系の癌殊に胃癌による死亡が最も多いのであつて,他方また罹病の面から見ても抗生物質の発展によつて細菌性疾患が減少するにともない,消化器系の疾患が種々問題となつてきている。特に慢性胃炎や潰瘍が悪化して癌化,穿孔,出血等を起して死亡する場合も比較的多く見られるのである。
したがつてこの胃癌,胃潰瘍および慢性胃炎などを早期に発見して大事に至らぬ前に処理し食生活をコントロールする所謂胃疾患の予防こそ現在当面する第一の問題としてとりあげ,またこれについてもつと関心を高めるべきである。病院機能としてもこれらの疾病の予防活動は最も努力しなければならない問題であつて,胃ドック開設の動機は以上の考えと次の集団検診の結果から重大なる示唆を与えられ,病院の予防活動の一端としてなされたものである。
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